ルソーは、ジャングルをテーマにした作品を多く描いた画家です。
小説家である原田マハの作品「楽園のカンヴァス」を読んで、ルソーの存在を知ったという方も多いのではないでしょうか。
この作品の中に登場するルソーの代表作が「夢」です。
今回は、ルソーの「夢」について解説するとともに、原田マハの作品との関係にも触れていきます。
1.ルソーとは
ルソーの代表作「夢」を知る前に、ルソー本人の特徴を紹介します。
1-1.日曜画家
ルソーは、19〜20世紀のフランスで活躍した画家です。
多くの画家が学校で美術を学ぶ中、彼はパリ市において20数年もの間税関で働きながら、余暇を絵画の制作に充てていました。
いわゆる「日曜画家」であり、独学で絵を学んでいます。
しかし、現代に残るルソーの代表作は、税関を退職したのちの50才以降に描かれたものです。
1-2.素朴派の祖
ルソーは「素朴派の祖」として知られる画家でもあります。
「素朴派」とは、美術に関する専門的な教育を受けていない画家です。
知識やスキルがない分、伝統に捉われないダイナミックな作品が描かれることが多く、現代ではルソーをはじめとする素朴派の画家が評価されています。
しかし、素朴派が注目を集めたのは20世紀に入ってからで、ルソーの作品は生前高く評価されることはほとんどありませんでした。
ルソーの作品を見出したのは、「20世紀最大の芸術家」と名高いピカソです。
ピカソは、路上で売られていたルソーの作品に目を奪われ、直接ルソーの元へ出向いたと言います。
その後、ルソーの作品を評価するための「ルソーの宴」がピカソによって開催され、美術界に知られることとなりました。
2.ルソーの代表作「夢」の特徴
ルソーの代表作として多くの方が思い浮かべる作品が「夢」でしょう。
ジャングルをモチーフにした絵の中でも最大級で、約2m×3mの大きさがあります。
また、ルソーが逝去する前に描かれた最後の絵画としても有名な作品です。
続いては、「夢」の特徴について解説します。
2-1.ジャングル
ルソーの代名詞といっても過言ではないジャングルのモチーフは「夢」にも用いられています。
ジャングルのモチーフは、ルソーの名が広く知られるきっかけでもありました。
実は、ルソーはフランスに暮らしていたこともあり、本物のジャングルを見たことがなかったと言われています。
そのため、近隣にあった植物園に通いながら、ジャングルに思いを馳せて描いていたようです。
2-2.ヤドヴィガ
「夢」には二人の登場人物が描かれています。
大きく描かれている女性が、ルソーの愛人だったヤドヴィガです。
そして、ジャングルの茂みには蛇使いの男性が描かれています。
更に特徴的な点は、ルソー直筆の詩が添えられていることです。
詩の中には、この作品がヤドヴィガが見た夢であり、夢の中でジャングルに迷い込んだところ蛇使いが吹く笛の音色を聞いたと書かれています。
詩の内容を踏まえながら「夢」を鑑賞すると、更にこの作品に没頭できるでしょう。
3.原田マハの「楽園のカンヴァス」との関係
ルソーの「夢」を調べていると、小説家である原田マハの著書「楽園のカンヴァス」が出てくることがあります。
「楽園のカンヴァス」は、原田マハの代表作でもあり、この小説からルソーの「夢」を知ったという方も多いのではないでしょうか。
まさしくこの小説は、ルソーの「夢」をモチーフにした作品です。
小説の中では、「夢」と対になる幻の作品「夢を見た」という絵画があるのではないかという話が出てきます。
これは「楽園のカンヴァス」で表現された架空の作品ですが「実在するのでは?」と話題になりました。
とはいえ「夢」は実在するルソーの代表作であり、「楽園のカンヴァス」を読んでから改めてルソーの作品を鑑賞すると、より一層惹かれるものがあります。
4.ルソーの「夢」を鑑賞できる場所
ルソーの「夢」は、MoMA(ニューヨーク近代美術館)にて展示されています。
1910年にルソーから「夢」を買い取ったのは、フランスの画商アンブロワーズ・ヴォラールでした。
その後、ニューヨークにあった美術品ディーラー「ノードラー・ギャラリーズ」を介して、被服製造業者のシドニー・ジャニスに売られています。
そして、1954年にシドニー・ジャニスから第41代アメリカ合衆国副大統領ネルソン・A・ロックフェラーに売却され、最終的にロックフェラーからMoMAに寄贈されました。
現在も、MoMAにて多くのアートファンを魅了しています。
5.まとめ
今回は、ルソーの代表作「夢」について解説しました。
日本人の小説家原田マハがモチーフにしたように、アートファンのみならず多くの表現者に注目される作品です。
原田マハの「楽園のカンヴァス」を読んだ方は、ぜひ実物の「夢」を見てみたいと思ったのではないでしょうか。
ニューヨークに立ち寄る機会があれば、ぜひMoMAに足を運んでみませんか。
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